2013年9月5日木曜日

キワノCucumis metuliferus 2013年 栽培の様子①

今春に購入したキワノ(その時の記事)から採れた種を播いて栽培している(東京都)。詳しい成長過程は記録していなかったが、結実が始まったので少しだけ紹介しようと思う。

・花(雄花)

同属のキュウリの花を半分くらいの大きさにしたような見た目である。
葉もキュウリに少し似ているが、ずっと小さい。そして写真を見ても分かると思うが葉や茎にはトゲがあり、特に茎はびっしりと生えていてちょっと触れるだけで容易に刺さってくる。

・果実(未熟なもの)

写真は8月18日に撮影したもので、9月中に完熟すると思われる。

最初は蔓ばかり伸びて、キュウリなどが開花を始めても一向に花を付ける気配がなかった。まもなく8月というところでようやく開花が始まったと思う。
普通のウリ科作物と同様に栽培、収穫が可能なようだが、花期が遅いために寒冷地では収穫にこぎつけるのが難しいのかもしれない。



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2013年6月8日土曜日

くげぬま南瓜(ニホンカボチャ)


6月7日

我が地元の藤沢市鵠沼特産の作物として「くげぬま南瓜」がある。(鵠沼カボチャなどとも書くようだ)

毎年5月末から7月ごろにかけて、鵠沼海岸商店街などの八百屋の店頭に並ぶ。一般的なカボチャと比べると少々時期が早く、また売られる期間が短い。
現在では数軒の農家でしか栽培されてないそうだ。



小田急線沿いの畑で栽培される「くげぬま南瓜」 。

購入したもの。
重さは500g強とカボチャにしては小ぶり。この時期のものは元成り(一番成り)と呼ばれるシーズン最初に収穫されたものである。
八百屋「八百力」さんでいただいた説明の紙によれば、収穫時期により次のように分けているそうだ。
・5月20日~6月5日頃・・・一番成り(元成り)
・6月6日~15日頃・・・二番成り
・6月16日~25日頃・・・三番成り
・7月上旬以降・・・末成り(うらなり)

肝心の食味であるが、一番成りがねっとりとした食感で最もよいそうだ。以前、末成りの頃に購入したものはもっと大きかったが、若干ザクザクして今回の一番成りの食感とは少々異なるものだった。八百力さんの説明を参考にすれば、くげぬま南瓜の本当の美味しさを味わえるのは一番成り~二番成りが収穫される1カ月くらいしかないということだ。一般的なカボチャはスーパーで年中見ることができるが、それに対してくげぬま南瓜は非常に季節性の強い作物であると言える。


断面。一般的なカボチャに比べて淡い黄色である。

ところで、普段見かける一般的なカボチャは「クリカボチャ」とか「セイヨウカボチャ」などと呼ばれるもので、Cucurbita maximaという種である。
一方、くげぬま南瓜は「ニホンカボチャ」と呼ばれ、Cucurbita moschataという別の種である。(ニホンカボチャの中でもいくつかの品種群に分けられており、くげぬま南瓜はそのうちキクザ群(菊座)に相当すると思われる)


クリカボチャ、ニホンカボチャ共に品種によって食味に違いはあると思うが、普段食べているクリカボチャとくげぬま南瓜を比較してみると、同じ煮物にした時にクリカボチャは粉質でホクホクした食感、また甘みが強い。一方くげぬま南瓜は先に書いたようにねっとりとした食感で味はあっさりしている。例えると、クリカボチャと冬瓜を足して二で割った感じだろうか。
どちらのカボチャが美味しいかは優劣付けがたいが、恐らく単純に味の面で比較すると多くの人は甘みの強いクリカボチャに軍配を上げると思う。しかし、くげぬま南瓜の優しい味も捨てがたい。食感は全く異なるから好みが分かれるだろう。僕はどちらも好きだが、クリカボチャはいくつも食べていると口の中がパサパサになるから、ねっとりとしたくげぬま南瓜の方が食べやすいなと思う。より和風の食材といえるかもしれない。

鵠沼は江ノ島や湘南海岸に近く、また新しいレストランなどができて観光客が増加している。しかし、この特産のくげぬま南瓜はあまり知られていないのではないかと思う。
本格的な夏を迎える前の一時期だけしか見ることのできない、ちょっと変わったこのカボチャを一度味わってみてはどうだろうか。

参考 ・原色日本野菜図鑑 昭和47年8月1日 五刷発行 著者 高嶋四郎・二井内清之・渡辺斉 発行 保育社

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2013年2月12日火曜日

ルタバガ Brassica napus var. napobrassica


藤沢市内のとあるお店に食事に行った。店内には小さな野菜売り場があるのだが、そこにあったのがルタバガである。
長さは20センチくらい。図鑑に載ってるものに比べると随分細長いように思ったが、生産者のたそりあ農園さんのブログ(http://tasoria.s365.xrea.com/)には、「地力があまりないのでうちの畑のは大きくない」と書かれてあったので、実際はもっと大きくなるものなのだろう。

「草土 花図鑑シリーズ4 花図鑑野菜」 (草土出版 芦澤正和、内田正宏 監修 平成8年10月7日第1刷発行)を参考にすると、
ルタバガ (rutabaga, Swedish turnip, Russian turnip) アブラナ科アブラナ属の2年生草本。アジア・ヨーロッパ北部が原産とされ、洋種ナタネから生じたと推定されている。寒冷地帯に広く分布し、貯蔵性に秀でているのでヨーロッパでは冬場の重要な野菜であり、食用以外に家畜の飼料としても使われている。日本には明治初年に渡来したが、当時は主として飼料用に使われていた。

つまり、洋種ナタネ(セイヨウアブラナ)の根(正確には根と茎の両方)が肥大するようになったのがルタバガということらしい。
切ってみた。
断面は、外側が薄い橙色で、中心ほど白っぽい。もっとも、品種によって色は幾分異なるようである。繊維が多いためか、切るときにカブや大根ではあまり感じないザクザクとした切り心地だった。購入してから既に10日ほどがたっていたのだが、す(空洞)などは見られなかった。貯蔵性はかなりあるようだ。
調理後。
ふたを開けるとブロッコリーやキャベツなど他のアブラナ科野菜をゆでた時に近い香りがした。
今回はルタバガそのものの味を確かめてみよう、ということで素焼きにして味噌をつけて食べた。
味は、僕にはブロッコリーの茎をゆでたもの近いと感じた。甘みがあり、幾分ねっとりとしている。葉も甘く、特にあくは感じなかった。(最初感じた気がしたが、多分気のせい) カブを素焼きして食べたことがないから比較しようがないが、カブとはあまり似ていないように思った。また母は大根に似ている、と言っていたが、確かに繊維質のために漬物のたくあん(大根から作る)に近い食感だった。

初めて食べたルタバガは普通に美味しかった。逆にいえば際立った特徴がないかもしれない。 カブや大根など、雰囲気が似た野菜が沢山ある中ではなかなか広まらないかもしれないが、もっとあちこちで売られてもいいと思う。
今度は別の調理法で食べてみたい。



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2013年1月29日火曜日

キワノ Cucumis metuliferus


先日、近所のスーパーで売っているのを見つけた。以前もマンゴスチンを売っていたりと時々変わった果物を販売していたが、キワノは初めて。値段が900円くらいと高くて買うのを躊躇していたが、大学で同じサークルの方が半額出してくれるということで、購入に踏み切った。確か小学6年生の誕生日プレゼントに買ってもらって以来、2回目の対面である。






キワノ Cucumis metuliferusはウリ科キュウリ属のつる性草本で、別名ツノメロン(horned melon)、またはツノニガウリとも。原産地は熱帯アフリカとされる。(からだにおいしいフルーツの便利帳 三輪 正幸監修 高橋書店 参考) 同属ではキュウリのほか、メロン(マクワウリやシロウリなども含まれる)などの作物がある。日本に輸入されるものは、ニュージーランド産やアメリカ産が主なようだ。(今回購入したのはアメリカのカリフォルニア産であった)
外観は黄橙色でトゲが生え、切ると鮮やかな黄緑色でゼリー状の果肉が現れる。果肉の一つ一つに種子が一つ入っており、例えればミカンのつぶつぶの全てにタネが入っている、というところだろうか。いかにも南国フルーツらしい姿である。


半分に切ってみた。果肉は前回買ったものや本の写真のものに比べて随分と黄色っぽかった。品種の違いなのか、過熟していたのかは分からない。匂いはほとんどなく、わずかにキュウリに似た青っぽいさわやかな香りがした。


サークル(管弦楽団)の人たちと一緒に食べてみた。(外観を見て「モヤッとボールみたい」、という人もいた。懐かしい)
分かってはいたがほとんど味がない。例えるならば、キュウリの青臭さを取って、若干の酸味を加えた感じだろうか。みずみずしく、一応さわやかではある。一緒に食べたサークルのメンバーも皆微妙な表情。美味しい、まずい、でなく味がない、という感想が大半だった。少しだけバナナみたいな香りがする、という人もいた。
一方、食感の方はそれなりに好評のようだった。ゼリー状の果肉は、他の果物ではあまり似たものがないように思う。

家に帰ってから食べ方をいくつか試した。
最初に砂糖をかけてみた。いくつかのサイトに書いてあった食べ方だが、これは個人的にはいまいち。キワノのさわやかさが消え、ただ甘くなってしまったように思う。
次にヨーグルト(砂糖入り)にかけてみた。これはなかなか美味しかった。キワノの食感がヨーグルトにマッチし、アロエヨーグルトにも似た感じになった。

キワノは食感とみずみずしさが身上、味は美味しいわけではない(というか無味)が、十分に価値のある果物だと思う。ただ、4桁に迫る値段がそれに相応か、というと微妙である。リンゴやミカンなど美味しい果物がずっと安い値段で売っているのだから。ただ、一度試してみる価値はあると思う。


来年は採れた種から栽培できたらと思います。


追記

→同年に栽培を行ったので、その様子を別記事にて少し紹介しています。(2013年 栽培の様子1

2013年1月13日日曜日

1月11日 キッチンが走る!を見て。

昨年2012年2月3日の再放送だそうである。
「キッチンが走る!」、知っている方も多いだろう。俳優の杉浦太陽さんと料理人の方がキッチンのついたワゴン車で関東甲信越の各地を回ってそこで得た食材からオリジナル料理を作り、地元の方々に振る舞うNHKの番組である。
(番組ホームページはこちら)NHKの回しものではありません(笑)
今回の放送は、山梨県の南アルプス山麓が舞台。様々な食材が出てくる中、地域独自の野菜が登場した。「大塚にんじん」と「大野菜」である。
大塚にんじんは、市川三郷町大塚地区で栽培されてきた人参の品種である。(恐らく西洋種) 収穫時には80~120cmにもなるそうだ。 また大野菜は、身延町大野地区で栽培されてきた漬け菜の品種である。
大塚にんじんは、最近になって地域の特産野菜が注目されるようになり、再び栽培面積を増やして販売もされているそうだ。一方で、大野菜は今のところ自家消費が主なようで販売はないようだ。いったいどのような味なのだろうか。
この2種については詳しくは以下のサイトを参考にしていただきたい。

参考「大塚にんじん」http://www.pref.yamanashi.jp/kaju/documents/o-tukaninjin.pdf
「身延町大野地区の大野菜」http://www.pref.yamanashi.jp/kaju/documents/o-nona.pdf


今回の放送に限らず、「キッチンが走る!」ではよく地域特産の作物が紹介される。楽しいだけでなく、僕にとってはよい勉強にもなる番組である。

あいさつ

feです。
既にbloggerにて「てっちゃんの自然観察記」と「てっちゃんの庭」というブログをやっておりますが、姉妹ブログ?として本ブログをたちあげることにしました。 実は自然に限らず野菜や果物にも興味がありまして、出かけ先で野菜売り場を見るのがちょっとした楽しみであります。
特に興味があるのが地域特産の野菜です。今ではかなり少なくなってしまったらしいですが、日本各地にその土地で昔から栽培されてきた独自の品種が存在します。例えば大根一つとっても、普段スーパーで見るのは青首大根を主とするわずかな種類だけですが、地方品種は100を軽く超えるといいます。あちらこちらにその地域の暮らしとともにできあがった、いわばその地域の文化資源とも言える野菜の品種があると考えると楽しくなってきます。
もうひとつ、果物、特に南国フルーツにも強い興味があります。最近になってドリアンなども出回るようにはなりましたが、東南アジアなどには日本では見ることのできない独特な果物が栽培されているでしょう。いつか見に行ってみたいものです。

日記ではないため更新は不定期になります。ぐっとくる野菜や果物を見つけた時やそれに関する話をのせていこうと思います。
よろしくお願いします。